人生は一度きり

KONISHI KATSUMI

小西 克実

名古屋グランパス

愛知県出身。大学時代から名古屋グランパスの熱心なサポーターとしてゴール裏で応援を続ける。新卒でアイシン精機(現アイシン)に入社し、約15年間勤務。日本や海外で自動車関連業務を経験したのち、2024年に株式会社名古屋グランパスエイトへ転職。現在は広報・ホームタウン部に所属し、クラブの魅力発信を担う。長年のサポーター経験を生かし、「町いちばんのクラブ」を体現するため、ファンとクラブをつなぐ架け橋となっている。

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AICHI

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“町いちばん”を目指す名門クラブ

Jリーグ創設期から続く名古屋のサッカークラブ、名古屋グランパス。1991年に誕生し、2010年には悲願のJ1リーグ優勝。その後も、クラブは“勝つこと”だけでなく”町いちばん”を追求し続けている名門クラブです。今回は、クラブの広報・ホームタウン部に所属する小西克実さんに、グランパスの歩み、地域への想いなどを伺いました。

Q:名古屋グランパスはどのように誕生したのでしょうか?
A(小西さん):Jリーグ発足にあたり、1991年にトヨタ自動車のサッカー部を母体として設立されました。当時から“地域密着型クラブ”を理念に掲げ、名古屋市、豊田市、みよし市を中心とする愛知県全県をホームタウンとして活動しています。2025年で、設立から34年を迎えます。地域とともに歩み続けてきた歴史は、クラブの誇りそのものです。

夢が叶った瞬間

Q:小西さんご自身とグランパスの関わりについて教えてください。
A:私自身、実はずっとグランパスのサポーターでして(笑)。初めて試合を観たのは1995年、小学生の頃だったと思います。大学時代からはゴール裏で声を張り上げて応援していました。社会人になってからもスタンドに通い続け、「この熱狂をもっと多くの人に伝えたい」という気持ちが強くなっていったんです。長年勤めた会社を辞めて、2024年に念願叶ってグランパスに入社しました。“好きなクラブの中で働く”という夢が現実になった瞬間でしたね。

Q:現在のクラブが掲げるビジョンを教えてください。
A:グランパスの合言葉は「町いちばんのクラブ」です。勝利を目指すのは当然ですが、それ以上に“地域の人々にとって一番の存在”であることを大切にしています。J2降格を経験した2016年以降、クラブは「サッカーをするだけでなく、町のためにあるチーム」へと意識を転換しました。この考え方が社員一人ひとりに浸透しているのが、私たちの強みです。

「100億円クラブ」は夢じゃない

Q:現在の課題や、目指している目標についてはいかがでしょうか?
A:経営面では「100億円クラブ」を目指しています。2024年度の売上は約68億円でJリーグ全体9位。入場者数、グッズ売上、スポンサー獲得など、すべての部署が目標達成に向けて動いています。特に豊田スタジアムでは、今シーズン史上初めて3試合連続でチケット完売を達成し、12万人近くのお客様にご来場いただきました。この勢いを一過性で終わらせず、安定的に続けていくことが次のステップです。
もちろんグランパス独自の地域連携を続けることも意識しています。実は愛知県は、在留外国人が全国でも3番目に多い地域です。そこで、ブラジル人コミュニティとの連携イベントや、外国人無料招待デーなどを開催しています。また、U-18のアカデミー選手が主体となり、ブラジルにルーツを持つ子どもたちが「生きがい」を感じられるような社会活動も実施しています。サッカーを通じて、国籍や言語の壁を越えたつながりをつくることが、グランパスらしい地域貢献だと思っています。

“わがままになる勇気”を持って

Q:今後、クラブとしてどのような未来を描いていますか?
A:「ホームタウンのすべての人に、グランパスを感じてもらえる毎日をつくる」、それが私の目標です。試合やイベントだけでなく、日常の中にグランパスを感じられる仕組みを増やしたい。たとえば、通勤途中にポスターを目にする、地元商店街でコラボ商品を手に取る、テレビや新聞などでグランパスを目にする…そんな小さな接点の積み重ねが、“町いちばん”をつくると思っています。広報としては、クラブの魅力を丁寧に発信し、メディアの皆さんとともに地域全体を巻き込んでいきたいですね。

小西さんの言葉からは、クラブを愛し、地域を想い、夢を追い続ける姿勢がにじんでいました。赤く染まるスタンドの熱気のように、グランパスの未来もまた、名古屋・愛知とともに輝いていきます。「勝つこと」と「町いちばんのクラブであること」。その両輪で進む名古屋グランパスの挑戦は、これからも続いていくでしょう。

「夢は一度で叶わなくてもいいと思います。私も新卒ではグランパスに入れませんでしたが、そのとき与えられた場所で全力を尽くしてきた経験が、今に生きています。今いる場所でベストを尽くすことが、次のチャンスを呼び込むんです。そして、人生は一度きり。周りの目を気にしすぎず、本当にやりたいことがあるなら、一歩踏み出してほしい。たとえ遠回りでも、“わがままになる勇気”を持って自分の選択を信じて行動することが、最終的に自分らしいキャリアをつくると思います」