自分の感覚を信じること

TAKANO YASUTOSHI

高野 泰年

メイヂ食品株式会社

1973年、名古屋市生まれ。三重大学工学部建築学科を卒業後、ゼネコン勤務を経て2000年にメイヂ食品株式会社へ入社。金券ショップ事業で経験を積み、2010年代に「健康食品事業」へ新たに挑戦することに。現在は代表取締役として、CBD(カンナビジオール)を中心とした健康サポート製品の普及に取り組んでいる。ちょっと真面目な麻のTV(岐阜放送→とちぎテレビ)に出演中。2019年、二所ノ関親方がイメージキャラクターのCMを放送。君が代をイメージ曲とした「大麻草は日本の心」の親方のフレーズが話題となる。「大麻後進国ニッポン」(2024年幻冬舎)、「ちょっと真面目な麻の話」(東海ラジオ)など執筆、出演など幅広く活動中。

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AICHI

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つねに「攻め」続ける健康食品メーカー

創業から半世紀以上、名古屋でチケットショップを運営してきたメイヂ食品株式会社。時代の流れとともに現金取引が減る中、同社は次の一手としてCBD(カンナビジオール)を活用した健康食品事業を立ち上げました。時代が変われば求められる健康のかたちも変わる…そう語るのは、2代目代表の高野泰年さん。固定観念にとらわれず挑戦するメイヂ食品の姿勢は、創業時から脈々と受け継がれています。

Q:メイヂ食品はどんな会社ですか?
A(高野さん):もともとは名古屋のチケットショップとしてスタートした会社です。新幹線の回数券や商品券など、金券の売買を通じて地域に根ざしてきました。しかしこの時代、カードやQRコードといった電子決済の普及により現金の流通が減っていきます。「次の時代に必要とされる事業を育てたい」と思い、健康食品分野に参入しました。その中心となっているのが、CBD(カンナビジオール)を配合した健康サポート商品です。

異なる業種で交わる共通点とは

Q:CBD事業を始めたきっかけは?
A:きっかけは「金券ショップの衰退に備えて」でした。同時に、私自身が“心と体を整えるための新しい選択肢”としてCBDに興味を持ったんです。ただ、当初はなかなか理解が得られませんでした。「大麻」という言葉への誤解も多く、商品の良さが伝わりにくかった時期もあります。それでも、実際に使用されたお客様から「夜ぐっすり眠れるようになった」「気持ちが落ち着く」といった声をいただくうちに、確かな手応えを感じました。今は、より体感を得やすいCBN(カンナビノール)配合商品の開発にも力を入れています。

Q:チケットショップと健康事業。全く異なる業種ですが、共通点はありますか?
A:実はあるんです。どちらも「時代の流れを読むこと」が欠かせないんですよね。金券事業では、現金需要のピークを肌で感じ、次に来る波を考えました。健康事業では、社会の変化、たとえばストレス社会や睡眠問題を読み取り、必要とされるものを提供しています。時代の変化をつねに読み取り、それに応じて自分たちも変わり続けることが、会社を続けるための唯一の答えだと思っています。

「安心・安全・わかりやすさ」

Q:そもそもCBDとはどのような成分なのでしょうか?
A:CBD(カンナビジオール)は、麻(ヘンプ)由来の天然成分です。ただし、いわゆる「大麻(THC)」とはまったく異なります。CBDには精神作用(ハイになるような効果)は一切なく、むしろ近年は、ストレス緩和・睡眠の質の向上・リラックス作用などの可能性が研究されています。世界保健機関(WHO)も安全性を認めており、欧米ではサプリメントや化粧品など幅広い用途で使用されています。日本でも、厚生労働省の基準を満たした製品であれば合法的に販売・使用が可能です。
ただ2024年12月に大麻取締法が改正され、CBD業界は大きな混乱が起きています。CBD事業者も対応に追われており、業界全体の成長スピードにブレーキがかかっている印象です。正規に輸入され国から商品として販売が許可されていた商品が違法なものとして扱われてしまう状況もあり、非常に混乱を招いています。大きな在庫を抱えたまま、廃業に追い込まれる業者さんも多いです。

Q:商品開発で大切にしていることは?
A:「安心・安全・わかりやすさ」です。CBDは海外ではメジャーな成分ですが、日本ではまだ誤解も多い。だからこそ、成分の正確な説明と品質管理を徹底しています。また、CBDやCBNを配合する際は、原料のトレーサビリティ(生産履歴)を確認し、すべて法令に則った安全な範囲で製造しています。お客様に“安心して手に取ってもらえること、それが健康食品メーカーとしての最低限の責任だと考えています。
ちなみに私は大麻に関するテレビ番組でコメンテーターもしているのですが、番組を通じて厚労省とやりとりをしたり、業界団体と意見交換をしたり様々な視点で市場を守る取り組みをしています。それもユーザーの安全性を守ることにつながっていると考えています。本来それは、国際整合性を取るために国が優先的に取り組まなくてはならないことなのですが…。私はテレビではあえて、この点を強くコメントしています。

誠実に進化する

Q:今後の展望を教えてください。
A:CBDをもっと“日常の中にある健康素材”として定着させたいです。たとえば、入浴剤やバームオイル、グミといった生活に自然に取り入れられる形で広げていきたい。また、単なる健康食品ではなく「休む」「整える」「前向きに生きる」ためのサポートブランドを目指しています。CBDは日本において一時的な流行ではなく、心と体をケアする文化が根付くと確信しています。それは、世界的に見ても合法化に舵をとる国が増えている昨今の世界情勢を見ても明らかです。今までタブーとされてきた大麻草が見直され人々をケアする役割が定着し経済効果も大きく見込まれています。先の大麻取締法改正で医療や健康目的としての医療大麻を必要とする人々が多くいます。世界では必要性を訴え国民的議論の末に、合法化された国も多い。まさに日本もその段階を迎えていると思います。
皆様にも、一度検索してみてほしいです。ぜひ英語で調べてみることをオススメします。日本を越えて、世界でどんなことが議論されているのか、自分自身で調べてみることが国民的議論への第一歩だと思っています。

半世紀を超えて変化を重ねてきたメイヂ食品株式会社。チケットショップからCBD事業、その挑戦の根底にあるのは「時代に合わせて、誠実に進化する」という姿勢でした。CBDという新しい素材を通じて、“心と体の健康”を支える文化をつくろうとする高野代表。その歩みは、変化を恐れず挑戦する企業の新しいモデルとなりそうです。

「社会が大きく変わる中で、“常識”もどんどん塗り替えられています。だからこそ、自分の感覚を信じて動いてみることが大事だと思います。実は私は、最初建築の分野で働いていました。そこから金券事業、そして健康分野へと進みました。まったく異なる業界でも、人に喜ばれるものをつくりたいという思いは変わっていません。やる前から正解を探すのではなく、むしろやってみて考えるくらいの柔軟さが、これからの時代には必要だと思います」